Dawn Avatar Robot Cafe
Photo: Keisuke Tanigawa Dawn Avatar Robot Cafe
Photo: Keisuke Tanigawa

日本橋にオープン、分身ロボットカフェの4つの魅力

障がい者が遠隔操作するロボットとは?

Emma Steen
翻訳:: Shiori Kaneko
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タイムアウト東京 > フード&ドリンク > 日本橋にオープン、分身ロボットカフェの4つの魅力

ロボットの店員がいるカフェというと、「地球がアンドロイドに支配されてしまうのではないか」という不安なジョークが飛び交いそうだが、テクノロジー企業のオリィ研究所が展開するロボットカフェは、そうは思わせない。最近のテクノロジーでは、無人のコンビニエンスストアや高さ18メートルの動くガンダムなどが登場しているが、オリィ研究所の最新の試みは、効率や目新しさのためにロボットを利用するのではなく、変化をもたらすことだ。

DAWNDiverse Avatar Working Network)の頭文字をとり、分身ロボットカフェ ドーン(DAWN Avatar Robot Cafe)と名付けられたオリィ研究所の日本橋の新店では、遠隔地にいる人間が操縦するロボットが働いている。障がいや育児などの理由で通常の仕事に就くことが困難な人にとっては、画期的なモデルとなるだろう。

共同創業者である吉藤健太朗は、自身が重い病気で3年以上寝たきりになった経験から、遠隔操作が可能なロボットのアバターをデザインすることを思いついたそうだ。この画期的な取り組みは、家庭での孤独に悩む人々の解決策となるだけでなく、よりオープンで受け入れやすい街づくりにも貢献している。

これまでにも、同じシステムを使ったポップアップカフェを街中にいくつかオープンしてきたが、分身ロボットカフェはクラウドファンディングと企業からの協賛を得て、2021年の初夏にオープンした初の常設店。ここでは、このカフェがどのようにして、よりインクルーシブな未来への道を切り開いているのかを紹介する。

判断するのは人間

分身ロボットカフェは一見すると、コロナ禍の一般的な職場とあまり変わらない。ここでは、数人のスタッフが店頭にいるが、残りのスタッフは日本の山形や北海道、さらにはオーストラリアにある自宅からリモートでログインし、ロボットを操作する。

入口では分身ロボットの『オリヒメ』が迎えてくれ、人気メニューを勧めてくれたり、ドリンクを提供する『オリヒメディー』がいる。

街中で見かける人型ロボットの『ペッパー』とは違い、オリヒメは会話をしていても気持ちが良く、最先端の技術に人の手を加えることの重要性を感じさせてくれる。ほとんどのオリヒメの横にはiPadが置かれていて、誰がどこからログインしているのかが分かるのだ。

ロボットがバリスタに変身

SF世界の話のようだが、ロボットがフレンチプレスでコーヒーを入れる時代がようやくやってきた。カフェには、持ち帰り用のスタンダードなドリンクカウンターがあるが、毎週水曜と土曜にオープンするバーアンドテレバリスタでは、メカニックなバリスタがコーヒーを入れる様子を見ることができる。

汎用(はんよう)ヒト型ロボット『ネクステージ』のテレバリスタ自体は、来店者と会話することはできない。ここはオリヒメの出番だ。 オリヒメのパイロットがさまざまな豆の種類を案内し、選択の手助けをしてくれる。ネクステージのテレバリスタがコーヒーを入れている間、あなたはオリヒメと会話をして、第3世代のコーヒー文化を知ることができるだろう。

コーヒーの抽出が終わったら、注目のビーントゥバーショップ、ミニマルのチョコレート4種類の中からペアリングしてセレクトしたものを添えて提供してくれる。

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革命的な技術を採用

遠隔地にいるスタッフがカフェ内のどのロボットにもログインできる最新のシステムにより、パイロットは必要な場所に応じて異なるアクセスポイントを体を動かすことなく移動することができる。来店者の対応をしていない時は、裏手にあるロボットにログインして、近くにいる客とちょっとした会話を交わす。

オリヒメのパイロットの中には、体に障がいがある人や移動に問題を抱えている人もいるが、厳しい家庭生活を送っていたり、不安障害のために外出が困難な人も働いている。目の動きだけでロボットを操作できる技術を採用しているので、障がいがあってもカフェでは問題ない。カフェの奥にあるデモンストレーションコーナーでは、実際に操作を体験することができる。

店内は完全バリアフリー

分身ロボットカフェは、障がいのある従業員に新しいソリューションを提供するだけでなく、来店者の体験を向上させることにも重点を置いている。そのために、カフェでは車椅子でのアクセスが可能なスペースを確保し、さまざまなタイプの座席を用意することで、誰もが気軽に利用できるようにしている。

リモートワークをする時も、バーでフレンチプレスで入れたコーヒーを飲む時も、テーブルとカウンターは完全なバリアフリーになっている。このカフェは、アクセシビリティに富んだバリアフリー化をリードしているのだ。

営業時間は1019時。利用エリアによって予約が必要なため、詳細は公式ウェブサイトでチェックしてほしい。

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